リンパ管疾患情報ステーション

医療費助成について

主な医療費助成制度は7つあります。(令和3年9月現在)

疾患の症状や医療費の総額、患者さんのお住まいや年齢、所得等によって、受けられる制度が異なりますので、1つ1つの制度についてご説明します。

  (1) 小児慢性特定疾病(小慢)対策の医療費助成制度
  (2) 難病対策における指定難病に対する医療費助成制度
  (3) 自立支援医療制度(育成医療・更生医療)
  (4) 重度心身障害者医療費助成制度
  (5) 高額療養費制度
  (6) 乳幼児医療費助成制度(自治体により対象年齢の上限が異なります。)
  (7) 医療費控除

(1)〜(3)は国の法律に基づく公費負担制度ですが、(4)は地方自治体の条例に基づく公費負担制度です。
(1)〜(4)はいずれも自治体が認めた場合に適応される制度で、制度により重症度や所得、対象基準が異なります。
(2)〜(6)は、受給者証や認定証を医療機関の窓口で提示すれば、その場で支払う金額が軽減されます。(1)は自治体により異なります。
(7)は、一度窓口にて全額支払い、後から確定申告等を行うことで金額が還付されます。

いずれの制度も保険診療を対象としています。保険診療というのは、保険で認められ、保険が適用される診療のことです。保険外診療(先進医療、治験に係る診療、保険収載前の薬品等、薬品や医療機器等の保険適用外の使用といった評価療養と、差額ベッドや時間外診療、制限回数を超える医療行為や歯科の金合金等による治療などの選定療養)は、全額患者さんの 自己負担となり、この金額については、医療費助成の適応は受けられません。そのため、保険外診療の治療費負担を軽減させるためには、民間の保険に加入して、助成してもらうことになります。(ただし、保険外診療でも「診察料」「検査料」「投薬料」「注射料」「入院料」など、保険適応治療と共有する部分は保険が適用され、その費用は公費助成の対象となります。)

自己負担率は患者さんによって違いますが、10%、20%、30%のいずれかになります。また生活保護を受けている場合は、一部ではなく自己負担の全額が助成対象となります。


(1) 小児慢性特定疾病(小慢)対策の医療費助成制度

◆対象者
「リンパ管腫」「リンパ管腫症・ゴーハム病」と診断され、治療を要する18歳未満の児童が対象となります。 18歳未満の方が対象ですが、18歳になった時点ですでにこの助成制度の対象と認められており、かつ18歳以降も引き続き治療が必要と求められる場合には、20歳未満の方も対象となります。

◆内容
医療費の自己負担の割合が3割から2割に引き下げられます。 世帯の区市町村税や所得に応じて、自己負担限度額が設けられています。
自己負担上限額については、こちらをご覧ください。

◆申請窓口
各自治体の担当窓口(保健福祉担当課や保健所等)

◆手続きの流れ
1、都道府県知事等の指定した「小児慢性特定疾病指定医」に診察してもらいます。
2、診断後、小児慢性特定疾病の「医療意見書」を医師に書いてもらいます。
3、「医療意見書(診断書)」「小児慢性特定疾病医療費支給認定申請書」「医療意見書の研究利用につい
  ての同意書」「被保険者証のコピー」「課税状況の確認書類」「世帯全員の住民票の写し」を持って、
  各自治体の担当窓口にて申請を行います。(必要な書類は、自治体によって多少異なりますので、事前
  にお問い合わせください。)
4、小児慢性特定疾病審査会にて審査が行われ、各自治体の担当窓口より認定・不認定の通知があります。
  認定されると「医療受給者証」が配布されます。
5、医療受給者証を持って、指定医療機関にて、受診、治療を行うと助成を受けられます。指定医療機関以
  外を受診しても、助成の対象にはなりません。(緊急の場合はのぞきます。)

◆注意点
助成開始は、原則申請日からのため、早めの手続きが必要です。 申請時に、受診する指定医療機関(薬局、訪問看護ステーション含む)を記載する必要があります。 有効期間は、1年以内です。助成を続ける場合は、更新手続きが必要です。

◆参考情報
小児慢性特定疾病情報センター


(2) 難病対策による指定難病に対する医療費助成

◆対象者
「顔面・口腔・咽喉頭・頚部に発症したリンパ管腫(巨大リンパ管奇形・頚部顔面病変)」「リンパ管腫症・ゴーハム病」と診断され、「重症度分類等」に照らして病状の程度が一定程度以上の方が対象となります。
「症状の程度が一定程度以上」とは、重症度分類modified Rankin Scale(mRS)、食事・栄養、呼吸の各評価基準のいずれかが3以上の方が対象となります。
巨大リンパ管奇形・頚部顔面病変と診断された方は、上記の基準もしくは、聴覚障害、視覚障害、出血に関する評価スケールにおいて、いずれかの基準を満たす方を対象としています。

◆内容
医療費の自己負担の割合が3割から2割に引き下げられます。(1割負担の患者さんの負担割合は変わりません。)
外来・入院を区別せずに、世帯の所得に応じた医療費の自己負担上限額(月額)が設定されます。自己負担上限額は、受診した複数の医療機関などの自己負担を全て合計して適用されます。
自己負担上限額については、こちらをご覧ください。

◆申請窓口
都道府県の担当窓口(保健福祉担当課や保健所等)

◆手続きの流れ
1、都道府県知事の定める「難病指定医」に診察してもらいます。
2、診断後、「臨床調査個人票(診断書)」を医師に書いてもらいます。
3、「診断書」「指定難病医療費支給認定用申請書」「被保険者証のコピー」「課税状況の確認書類」「世
  帯全員の住民票の写し」「同意書」を持って、各自治体の担当窓口にて申請を行います。(必要な書類
  は、自治体によって多少異なりますので、事前にお問い合わせください。)
4、各都道府県に設置された指定難病審査会での審査が行われ、各自治体の担当窓口より認定・不認定の通
  知があります。認定されると「医療受給者証」が配布されます。
5、医療受給者証を持って、指定医療機関にて、受診、治療を行うと助成を受けられます。指定医療機関以
  外を受診しても、助成の対象にはなりません。(緊急の場合はのぞきます。)

◆注意点
症状の程度が「重症度分類等」で一定以上に該当しなくても、高額な医療を継続することが必要なものについては、助成の対象となります(軽症高額該当)。 有効期間は、1年以内です。助成を続ける場合は、更新手続きが必要です。

◆参考情報
疾患説明1 疾患説明2
申請案内
相談窓口


(3) 自立支援医療(更生医療、育成医療)

◆対象者
更生医療:身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)
育成医療:身体に障害を有する児童(障害に係る医療を行わないときは将来障害を残すと認められる疾患がある児童を含む。)で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳未満)
が、それぞれ対象となります。 視覚障害、聴覚障害、言語障害、肢体不自由、内部障害(心臓・腎臓・肝臓・小腸・免疫など)が主な対象障害です。

◆内容
心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。本人の負担が3割から1割になります。1か月当たりの負担に上限が設けられています。 上限額は世帯所得によって異なります。都道府県又は政令指定都市が指定した「指定自立支援医療機関」(病院・診療所・薬局・訪問看護ステーション)のみで利用できます。 ◆申請窓口
各自治体の自立支援医療申請窓口

◆手続きの流れ
厚生医療→「自立支援医療費(更生医療)支給認定申請書」「自立支援医療(更生医療)意見書(概略書・見積り明細書等)」「身体障害者手帳の写し」「被保険者証のコピー」「住民税(非)課税証明書等」が必要となります。
育成医療→「自立支援医療(育成医療)支給認定申請書」「自立支援医療(育成医療)意見書」「世帯調書」「住民税(非)課税証明書等」「被保険者証のコピー」が必要となります。
申請手続き後、各自治体の担当窓口より認定・不認定の通知があります。認定されると「自立支援医療受給者証」が配布されます。

◆注意点
治療開始前に申請することが必要です。1年以内で有効期限が設定されます。助成を続ける場合は、更新手続きが必要です。

◆参考情報
制度概要
厚生医療
育成医療


(4) 重度心身障害者医療費助成制度

(地方自治体による独自の制度のため、自治体によって、呼び名が多少異なります。)

◆対象者
心身に重度の障害がある方に医療費の助成をする制度です。都道府県や市町村が実施しているため、自治体により対象者は異なります。

◆内容
お住まいの都道府県、市町村によって、対象となる障害の程度や、助成の内容も異なっています。
障害の程度としては、身体障害者手帳1級・2級及び内部障害3級、療育手帳A、特別児童扶養手当1級受給資格者などが対象となっている場合が多いようですが、市町村によっては、精神障害者保健福祉手帳1級所持者なども対象となっている場合があります。 また、受給には所得の制限がある場合が多いようです。(厚生労働省みんなのメンタルヘルス総合サイトより引用)
お住まいの市町村の担当窓口にお問い合わせください。

◆参考情報
みんなのメンタルヘルス


(5) 高額療養費制度

◆対象者
どなたでも受けられる助成制度です。

◆内容
医療機関や薬局の窓口で支払った額がひと月で上限額を超えた場合に、その超えた金額が支給されます。 入院時の食費負担や差額ベッド代等は含まれません。 毎月の上限額は、加入者が70歳以上かどうかや、加入者の所得水準によって分けられます。
1.世帯合算
お1人の窓口負担では上限額を超えない場合でも、他の医療機関などの医療費や、同じ世帯で同じ医療保険に加入している方の受診について、窓口でそれぞれ支払った自己負担額を1か月単位で合算することができます。
2.多数回該当
過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から「多数回」該当となり、上限額が下がります。 事前に認定証の申請を行い、認定証が交付され、窓口でそれを提示できれば、限度額を超える分を窓口で支払う必要がなくなります。 ◆申請窓口
加入している公的医療保険(健康保険組合、市町村国保、共済組合など)

◆手続きの流れ
高額療養費の支給申請書を提出、または郵送することで支給が受けられます。領収書の添付を求められることもあります。 診療を受けた月の翌月の初日から2年以内でなければ、支給を受ける権利が消えてしまいます。2年以内であれば、過去にさかのぼって支給申請することができます。

◆注意点
月をまたいで治療した場合には、自己負担額の合算はできません。 同じ医療機関でも医科と歯科の医療費は別扱いになります。同じ医療機関の同じ科にかかっても、入院と外来の医療費は別扱いになります。それぞれの支払い金額の合計が21,000円以上の場合は、自己負担額を合算することができます。(70歳未満の場合)

◆参考情報
厚生労働省


(6) 乳幼児医療費助成制度

(市町村による事業のため、呼び名はそれぞれです。)

◆対象者
義務教育就学前までの乳幼児を養育している世帯主が対象ですが、乳幼児の対象年齢は各自治体により異なります。乳幼児が国民健康保険や健康保険など各種医療保険に加入していることが前提となります。生活保護を受けている乳幼児や施設などに措置により入所している乳幼児は対象となりません。(就学後の児童を対象とした助成制度を設けている市町村もあります。)

◆内容
各種医療保険の自己負担分を助成します。内容は各自治体により様々です。所得制限を設けている自治体もあります。 健康保険証と乳幼児医療証を提示すれば、その場で助成が受けられます。窓口で全額支払いをし、後日役所に領収書と申請書を提出して、返還を受けることもできます。

◆申請窓口
区市役所、町村役場に申請します。

◆手続きの流れ
子供の健康保険の加入手続きをします。健康保険証が手元に届いたら、役所で助成を受ける手続きをします。役所から乳幼児医療証が届きます。


(7) 医療費控除

◆対象者
どなたでも受けられる助成制度です。

◆内容
多額な医療費を支払った時に、税務署に確定申告を行うことで支払った所得税が還付されます。 医療費控除額は、 「その年に支払った医療費」−「保険金などで補てんされる金額」−「10万円または所得金額の5%の少ない金額」 で計算されます。

◆申請窓口
税務署

◆手続きの流れ
「医療費控除に関する事項を記載した確定申告書」「1年間の医療費の領収書」「給与所得の源泉徴収票」が必要です。 翌年の2月16日から3月15日までの間に申請します。5年以内であれば、さかのぼることができます。

◆注意点
医療費控除には最高限定額が決められており、200万円を超える医療費控除はできません。 「生計を一にする」世帯ごとに合算して申告できます。

◆参考情報
国税庁


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