治療総論
リンパ管腫に対する治療法は大きく「外科的切除」、「硬化療法」、「全身療法」、「その他」に分類できる。
(2011年10月8日)
外科的切除
リンパ管腫は病変部を手術で完全切除すれば完治するので、短期間で治療を完了出来ます。リンパ液を含んだ大小の嚢胞を全て取り除く手術が行われます。一般的には海綿状リンパ管腫に対しては硬化療法が効かないことが多く、切除術が有効です。
切除のマイナス面もあります。切除する際に切り込むキズは残ります。また手術で切除する際には周りの正常な部分も同時に切除せざるを得ないことが多く、機能的・美容的に問題を残すことがあります。特に顔や首の奥深くにある場合には様々な大切な神経や細かい筋肉を同時に切除することもあります。したがって、なるべくそういった問題が生じないように病変を部分的に切除することもよくあります。リンパ管腫の特徴としてリンパ液がどんどん集まってくることがあり、切除した端からリンパ液が止めどもなく流れ出てくることもあります。また傷口や漏れてくるリンパ液を伝って細菌が入ってしまい、ひどい感染を起こすことがあります。
(2011年10月8日)
硬化療法
リンパ管腫治療において外科的切除と並ぶ治療の柱です。薬剤を病変部に注射すると、リンパ液を含んでいる嚢胞が小さくなるために全体の大きさを徐々に小さくしていきます。理想的には嚢胞内のリンパ液を抜いてそこに薬剤を注入すると最も効果が出ると考えられています。
硬化剤としてはピシバニール(OK432)、ブレオマイシン、無水エタノール、フィブリン、酢酸、高張食塩水、高濃度糖水など、様々な薬剤が用いられてきました。
日本では現在ピシバニールを用いるのが主流です。発熱、局所の強い炎症反応(発赤、腫脹、疼痛)が表れますが、後遺症を残すことなく多くの場合には最終的に病変部を縮小します。嚢胞性リンパ管腫には良く効くことが多いです。
ブレオマイシンはピシバニールが使われる以前には硬化剤としてよく使われました。リンパ管腫縮小に有効であることが認められていますが、量が多くなると肺線維症という合併症を起こす可能性があります。現在第一選択として用いている施設は我が国では少なくなってきています。ピシバニールと同じように嚢胞性のリンパ管腫に対して、より効果があります。
上に挙げたように硬化剤として用いる薬剤は多様ですが、どの薬剤も一般的に嚢胞性のリンパ管腫には有効ですが、海綿状リンパ管腫に対しては効果が十分ではありません。
(2011年10月8日)
全身療法
準備中です。
(2011年10月8日)
その他
そのほかにインターフェロン療法やステロイド療法が有効であったとの報告がありますが、一方、無効であったという報告もあります。国内外を通じて実際に治療を受けた患者さんの数が十分でないので、効果については一定の見解がありません。
(2011年10月8日)