歴史

概念・分類の歴史

体表面にある先天性の脈管病変は、有史以来人種を問わず存在した。病変は平坦なもの、もりあがったもの、青みがかったものから赤味がかったものまで様々で、突出したものまである。それぞれの民族で母親のせいにされることが多く、一般人に限らず、医師もこれらの病変を”naevus maternus(母斑)” と呼び、”cherry”, “port-wine stain”, “strawberry”といった食べ物の名で呼んでいた。19世紀半ばの病理組織学の進歩により、これらの病変は”angioma”と名付けられた。

   

1867年Virchowが腫瘍学において、angiomaについて詳細に記述し、angioma simplex, angioma cavernosum, angioma racemosumと分類した際、リンパ管の腫瘍性病変についても詳細な検討をすべきであると述べた。Virchowの弟子であったWegnerが、1877年、その後の報告例をlymphangiomaとしてまとめ、Lymphangioma simplex, Lymphangioma cavernosum, Lymphangioma cystoidesに分類し、この分類は長く使われてきた。また、先天性リンパ管病変の名称として、lymphangioma(リンパ管腫)とcystic hygroma(ガマ腫)がつかわれてきた。1965年、Bill and Sumnerにより、両者は基本的に同じ病理組織学的病変であり、形態の違いは病変の解剖学的な部位と関連すると唱えられた。すなわち、筋繊維の多い部位にできたものはリンパ管腫となり、脂肪組織の中にできたものはガマ腫の形態をとり、両者は連続的となることもある。

Mulliken and Glowackiは、1982年に小児にみられる脈管病変を内皮の増殖能の特徴から2つに分類した。ひとつは、hemangiomas(血管腫)で、他方は、vascular malformations (脈管奇形)である。血管腫とは、増殖性の病変に限り、内皮細胞が増殖する性質を持つものを称し、脈管奇形は内皮細胞が一定のものとした。前者は、新生児期に増大しその後ゆっくりと消退する病変で、後者は、出生時にあるがその後も体の成長と比例して大きくなるものである。脈管奇形は、毛細血管、動静脈、リンパ管の組み合わせからなり、瘻のあるものもないものも含まれる。この結果、先天性のリンパ管病変は脈管奇形に分類された。(J.B. Mulliken and J. Glowacki, Plast Reconstr Surg 69 (1982), pp. 412-422)。 この分類法は1996年のローマにおけるInternational Society for the Study of Vascular Anomalies (ISSVA) によって採用され、一方はVascular tumor、他方はVascular malformationとされた。ISSVA分類ではVascular malformationは、脈管の流れの速さによってLow-flow病変とHigh-flow病変に分けられ、“リンパ管腫”は毛細管、静脈と並んで前者に分類されている。
(2011年10月8日)

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